元日銀当局者:デジタル円は日本の金融ネットワークに利益をもたらさない

元日銀当局者がデジタル円を使用しないように機関に促す

日本銀行の元金融決済部門のリーダーである山岡宏美氏は、日本の金融政策の一環としてデジタル円を使用しないように機関に促していることが明らかになった。

山岡氏は、デジタル円が現在の日本の金融システムに深刻なダメージを与える可能性があるとの見解を示している。さらに同氏は、デジタル円が定着することで、一般市民は国の通貨のいくつかの不利な条件の受け入れることになるだろうと述べている。

世界中の多くの中央銀行と同様に、日本銀行も自国通貨のデジタル形式を作成することを目指しており、2020年10月までさかのぼって、日本銀行はCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の開発に挑戦する計画を発表している。デジタル円のトライアルは2つのフェーズで構成されており、最初のフェーズは2022年3月までに完了する予定であり、早ければ2026年にもデジタル円がローンチされる可能性が浮上している。

デジタル円より現金を好む日本国民

日銀の元メンバーである山岡氏は、デジタル円についての考えをそれほど支持していない。

日本の決済システムはデジタルマネーの助けを借りる必要があると主張したにもかかわらず、デジタル円を採用すべきではないとの立場を明らかにしており、デジタル円が大量決済の手段になったとしても、日本の家計はより多くの現金を好んで使うことになるのではないかと述べている。日本は現在、さまざまな技術的課題に取り組む第2フェーズの段階であるが、日本国民は依然として現金に大きく依存しており、デジタル円が発行されたとしても現金の代替手段にはならないと考えられている。

それでも、世界中のほとんどの銀行はCBDCを開発するための研究を行っており、既存通貨の代わりになるのではないかとの期待がもたれている。実際、米国の中央銀行もCBDCについて関心を持っており、FRB(Federal Reserve System=米国連邦準備制度)は、そのような金融商品は家計や企業にとって安全なデジタル決済オプションを生み出す可能性があるほか、CBDC取引は、国家間のより迅速な決済機会をもたらす可能性があるとの見解を示している。

その一方で、米国の中央銀行は、CBDCは政府が完全に管理できるため、人々のプライバシーを侵害する可能性があると指摘。財政安定に有害であり、既存の支払い手段の代わりになるとは限らないと結論付けた。なお、世界のCBDC開発に関しては、中国で開発が行われているデジタル人民元がリードしており、大規模な実証実験などがすでに行われている。