米国上院議員、財務長官にFinCEN仮想通貨提案の大幅な修正を求める

米国上院議員がFinCEN 提案仮想通貨規制とFATFガイダンスの改訂を要請

米国上院議員のパット・トゥーミー(Pat Toomey)氏は、ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官に対し、FinCEN(金融犯罪捜査網)が提案した仮想通貨規制と、FATF(金融活動タスクフォース)が発行したガイダンスを大幅に改訂するよう要請していることが明らかになった。

トゥーミー氏は、米国の仮想通貨規制へのアプローチについてイエレン財務長官に「私は、仮想通貨の規制と監視に関連する財務省が関与する2つの提案について懸念を感じています。」との出だしから始まる内容の手紙を送ったとのこと。

米国上院議員の2提案に対する懸念事項とは

トゥーミー氏の2つの提案に懸念を感じる内容とは、仮想通貨と仮想資産サービスプロバイダーに関するFATFガイダンスに関連し、FinCENとFATFの提案は、不正行為に対する仮想通貨の誤用に対処しようとしていることを認識しているが、採用された場合、アメリカ人の基本的なプライバシー、および不正行為と戦うための取り組みに悪影響を及ぼすと主張している。

また、二つ目の懸念事項としてトゥーミー氏は、仮想通貨取引に関するFinCENの提案された規則に関連しており、FinCENが提案した仮想通貨ルールは、米ドル取引の既存の要件を超えて、仮想通貨取引に面倒な記録管理と報告要件を課すことになると主張している。

2020年12月に提案された法案で、3,000ドル(約30万円)を超える引き出しに対し、KYC(Know Your Customer=顧客確認)強化が求められるほか、引き出しを行う顧客と、送金先の身元情報の開示が求められており、1万ドル(約100万円)を超える取引には、FinCENへの報告が義務付けられるというものだ。さらに、FinCENが提案した規則は、個人のプライバシーと金融機関との取引能力を制限することにより、この規則は悪意のある人物に金融機関と連携しない方法を提供することになりかねないと危惧している。

トゥーミー氏は最後に、米ドル取引の一部の報告要件が40年以上更新されておらず、違法行為を特定するために適切に調整されていないことを指摘。仮想通貨は米ドルを利用する取引よりも簡単に追跡できることを付け加えた。実際、FBIは先日、ランサムウェア攻撃でコロニアル・パイプラインが支払った仮想通貨の多くを取り戻すことに成功しており、FinCENの規則がなくても十分に追跡可能であることも明らかになっている。一方で、バイデン政権は2021年5月末、仮想通貨の取引に関する報告義務に関する提案を発表し、IRSらに対する仲介業者の報告義務の拡充、並びに600ドル(約65,000円)以上の仮想通貨送金に関して、金融機関に対し顧客の情報提供を求める姿勢を示している