米諜報機関、デジタル人民元を国家安全保障上の脅威と見なす
米国の国家安全保障機構は、中国のデジタル通貨(CBDC)計画について、国家安全保障上の脅威であるとみなしていることを示した。米Washington Examiner誌は今月25日、米国家情報長官のジョン・ラトクリフ氏が米証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン委員長に宛てに、米国企業の競争力を高めるための規則を導入する手紙を送ったことを報じた。
手紙の内容は、仮想通貨マイニングにおける中国の優位性と、デジタル人民元の進展に由来するセキュリティ問題について記載されている。ラトクリフ氏は、世界の仮想通貨マイニングパワーの半分以上が中国に拠点を置いているという事実と、中国人民銀行がすでに国内のデジタル通貨を開発しているという事実を懸念しているという。
実際に中国マイナーは、ビットコインのマイニングに必要な計算力を示すハッシュパワーの世界の65%以上を占めており、この分野では米国よりも優位にあるとみられている。
1944年のブレトン・ウッズ協定以来、米国は世界の準備通貨である米ドルの発行者として、ハイパーインフレーションに遭遇することなく、特権的な地位を享受してきたと言えるだろう。しかし、デジタル人民元がリリースされることにより、国際貿易におけるドルの地位を脅かす存在になりかねないと考えているようだ。
さらに、多くの人がデジタル人民元を中国共産党の監視ツールと見なしているという背景もあり、中国の諜報活動にも影響を与えることへの懸念もある。SECのクレイトン氏は、今年中に退任することが発表されており、大統領選で当選確実と報じられているバイデン氏は、新たに国家情報長官の座に元米中央情報局(CIA)副長官であるアブリル・ヘインズ氏を指名する方針である。
記事参照:CoinDesk