FBIがクラーケンの元CEOの自宅を家宅捜査
FBI(米国連邦捜査局)は3月、元クラーケン(Kraken)のジェシー・パウエル(Jesse Powell)CEO(最高経営責任者)が非営利の芸術団体をハッキングし、サイバーストーカーを働いたという主張に関する捜査の一環として、その自宅を捜索したことがニューヨーク・タイムズ紙の報道によって明らかになった。
同メディアによると、FBIは2023年3月、仮想通貨の経営者であるパウエル氏が設立した非営利団体をハッキングし、サイバーストーカーをしたという主張に関する犯罪捜査の一環として、同氏の自宅を捜索。FBIはロサンゼルスのブレントウッド(brentwood)市にある同市の自宅を捜索し、電子機器を押収したが、検察は同氏を犯罪で告発していないとのこと。FBIとカリフォルニア州北部地区連邦検事局の捜査官は、少なくとも2022年秋から同氏について調査。同メディアの取材に応じたこの件に詳しい関係者によると、非営利団体は、パウエルが電子メールやその他のメッセージへのアクセスをブロックするなど、コンピューターのアカウントを妨害したと主張している。
クラーケンを米国第2位の仮想通貨取引所に育て上げたパウエル氏
パウエル氏のブランドン・フォックス(Brandon Fox)弁護士は、同氏が北カリフォルニアの連邦検察の捜査を受けていることを認めており、次のように語っている。
捜査の焦点は芸術団体Verge Center for the Artsによる申し立てであり、パウエル氏の雇用や仮想通貨分野での行動とは一切関係ありません。
クラーケン取引所を共同設立したパウエル氏は、2022年末にCEOを退任し、現在も取締役会長を務めており、今回の件に関して同氏は「何も悪いことはしていない」と述べている。実際、ここ数カ月、連邦捜査当局はクラーケンの競合他社数社を取り締まっており、仮想通貨取引所FTXの創設者であるサム・バンクマン‐フリード氏は2022年に詐欺罪で起訴されており、大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)とバイナンス(Binance)は政府からの訴訟に直面している。
パウエル氏は、仮想通貨の初期の歴史における重要人物で、クラーケンをコインベースに次ぐ米国第2位の仮想通貨取引所に育て上げたことで知られている。また、同氏の会社は何年にもわたって法的な精査に直面しており、ここ数カ月、検察当局は2019年に同社を相手取って起こされた不当解雇訴訟でなされたクラーケンと同氏に対する申し立てを調査したと、調査に詳しい2人の関係者が語った。その訴訟で、クラーケンの元従業員が、同社が米国の制裁下にある国の口座から収益を得ていると非難。クラーケンの銀行口座には数百万ドルの顧客預金がないと主張していた。
クラーケンの広報担当者は同メディアに対し、今回の捜査は同社とは無関係であり、検察当局が他の潜在的な問題を調べていると信じる理由はないと述べている。一方のFBI担当者はコメントを控えており、カリフォルニア州北部地区連邦検事局のスポークスマンは、捜査が進行中かどうかの確認を拒否しているとのこと。