ディークレッド(Decred/DCR)の特徴・詳細とは?

ディークレッド(Decred/DCR)の最新価格・相場・チャート・評価


 

ディークレッド(Decred/DCR)の特徴・詳細とは?

仮想通貨の管理・運営・開発で重要な要素のひとつとして、方針の決定があります。リップルのように特定の会社が管理・運営・開発を行っている中央集権体制を採用しているならば、途中で方針が大きく変更するような可能性は低いです。
もし変更する場合には、主要経営陣の入れ替えなどの形でニュースとなるでしょう。経営陣を入れ替えることで、方針の転換を内外に広く伝えるわけです。

一方でビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨では、非中央集権体制を採用しています。このような仮想通貨では特定の経営陣が存在せず、多くの関係者の総意によって方針の決定が行われます。非中央集権体制のメリットは多くの人の意見を取り入れることが出来るということです。少数の経営陣だけでは、エンドユーザーの意見を本当に吸い上げることが出来るのかという疑問があります。

特に現在の仮想通貨には、送金や決済以外にもプラットフォームなどの側面を抱えています。それだけユーザーの幅も広く、求められる理想像も多様化しています。加えて国際的な規制やセキュリティ問題への対応も要求されており、全ての要求に応えられる方針を打ち出すのは難しいでしょう。優先度の高い問題と低い問題を振り分ける必要があります。

多くの人に意見を聞くことで、出来るだけ民意に沿った運営方針を打ち出すことが可能になります。

ただし非中央集権体制には方針決定に時間がかかるという大きなデメリットを抱えています。意見を聞くだけでも時間がかかります。
加えて、もし意見が真っ向から対立してしまった場合には互いに納得の出来る妥協点を見出さなければなりません。これらの意思統一には時間がかかることが多いです。
意見が対立した例としては、送金詰まりに対するビットコインの対応があります。送金詰まりとは送金が遅れる減少です。

ビットコインユーザーが急激に増えたことにより、トランザクション処理が間に合わなくなったことが原因でした。
送金詰まりはユーザー全員の目に見える問題となっていましたが、改良案にはSegwit導入とブロックサイズの拡大という2つの方法が提案されていました。
どちらがより適切な方法か、関係者の意見が分かれたのです。

Segwetとは

Segwitとは簡単に言うと、情報の整理方法の見直しです。ブロックチェーンでは取引・送金・決済といった情報を各ブロックの中に納めています。

しかしブロック内にはトランザクション以外にも、電子著名などの情報も同時に収納された状態です。これら混在する情報を一度整理して、効率よく情報の出し入れを行えるようにしようというのがSegwitの目的です。

ただしSegwitにも懸念点がありました。Segwit自体が比較的新しい技術であるため、導入したからといって本当に送金詰まりが解消するという補償がなかったのです。
一方ブロックサイズの拡大は、情報を収納するブロックそのものを大きくするというものです。ブロックが拡大されれば当然収納できる情報が増えるので、より効率的にトランザクションを処理できると見込まれました。

ブロックサイズの拡大の懸念点は、セキュリティです。ビットコインは既に運営されて10年以上経過していますが、今のところまだ直接的なサイバー攻撃を受けていません。

この要因のひとつとして考えられているのが、1MBという小さなブロックサイズです。容量が小さいためにウイルスやマルウェアなどを仕込む余裕がないというわけです。しかしブロックサイズを拡大してしまえば、余計な情報を入れる隙を与えてしまいます。そのためセキュリティに穴が生まれるのではないかと懸念されていたのです。

Segwitとブロックサイズ拡大は両者とも言い分があり、1年以上の長い時間をかけて妥協点の模索が行われました。しかし最終的にはSegwitだけが導入されています。
そしてブロックサイズ拡大を求めた陣営は、新しく誕生したビットコインキャッシュへと異動していくこととなりました。

ビットコインで運営方針の模索からハードフォークの実行まで時間がかかった理由のひとつに、関係者の数が膨大だったことが挙げられます。既に運営開始から10年以上の時間が経過したビットコインには、数多くの技術者・マイナーが関わっています。
それぞれの立場から求めているビットコインの理想像は異なりますので、意見がひとつにまとまることは容易ではないわけです。ディークレッドは、このような管理・運営・開発といった今後の方針を円滑に進めることを目標とした仮想通貨です。

ディークレッド(Decred/DCR)とは?

POSによる投票機能

ディーグレッドが円滑に方針決定を行う工夫のひとつとして投票機能があります。ブロックチェーンを使った投票を通じて、関係者の意思を確認してもらうわけです。
更にディーグレッドではコンセンサスアルゴリズムとしても使われているPoSという方式を採用しています。

コンセンサスアルゴリズムというのは、トランザクションの承認および確認方法です。仮想通貨には、それぞれ異なるコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
ビットコインが採用しているコンセンサスアルゴリズムはPoW(Proof of Work)といいます。
仮想通貨に施されているハッシュ関数の暗号を最も早く解読した人がマイニング報酬を受け取るという方法です。
2番目以降のマイナーは、最初のマイナーによるマイニング内容が正しいかどうかの確認を行います。ただしこの確認作業は実質無報酬となります。
現在でもビットコインを始めとする複数の仮想通貨でPoWが採用されています。このように複数の仮想通貨でPoWが採用されている理由は、仕組みが分かりやすく不公平になりにくいためです。

PoWには問題点もあります。そのひとつが特定のマイナーによるマイニングの寡占あるいは独占です。
ビットコインのようなパブリック型のブロックチェーンでは、数多くのマイナーがマイニングしていることマイナーに報酬を支払っていることにより公平性が保たれています。
横の繋がりのない無数のマイナーが報酬を貰って互いに監視しあっているからこそ、悪意を持った改ざんが起こらない。あるいは起こっても見分けることができるわけです。

しかしASICという専用回路が開発されて以降、マイニングは一部のマイナーによる支配率が増えていきました。法人単位でマイニングを行う企業も登場しています。
2019年2月段階のビットコインは、大多数が法人のマイニングプールによってマイニングされているほどです。
BTC.comやAntPoolなどマイニングプール上位5社が協力すれば、マイニングの51%以上を支配することさえ可能です。

このようにマイニングが独占あるいは寡占されると、悪意を持った調整が可能になります。この例のひとつが51%攻撃です。
51%攻撃とは、一時的に特定の人数によって一部のマイニングの実権を握ることです。過去のブロックチェーンを改ざんしたり、マルウェアのようなものを仕込んだりすることは出来ません。

それでも近年は51%攻撃を受けている銘柄は増えてきています。ビットコインゴールド、モナコイン、ヴァージ、2019年1月にはイーサリアムクラシックも51%攻撃の対象となりました。
この他にもPoWには、多くのマイナーが一斉に同じブロックのマイニングするため電気が多く消耗しているなどの問題があります。
PoW以外のコンセンサスアルゴリズムとしてPoS(Proof of Stake)があります。PoSの特徴は、誰がどのマイニングを行うかが決められているということです。
このためマイナー間の競争が発生せず、効率よくマイニングを行うことが出来るわけです。

更にPoSでは、報酬が仮想通貨の保有量や保有年数によって変更するという仕組みになっています。ただし個人で仮想通貨を保有していても数量を確認することが出来ません。
そのため公式が認めたウォレットに保管する必要があります。
しかしPoSにも問題があります。保有すればするだけマイニング報酬が上がるので、市場に出回る数量が限られているのです。
またPoSには、マイニングしたようにだけ見せて報酬を得るという不正行為も存在します。この不正行為をNothing at Stakeといいます。

これらの問題を解決するために近年は、PoWでもPoSでもない全く異なるコンセンサスアルゴリズムも登場してきました。
その中でディークレッドは、PoWとPoSの両方を採用するという画期的な方法を採用しています。
ディーグレッドでのPoWのマイニングは、真っ先に暗号を解読した人が報酬を貰い、他の人は確認を行うという既存の方法と同じ方法です。
一方PoSに関してはチケットを使った確認方法を取り入れています。投票されたチケットから無作為に5枚選び、3枚以上で承認されていればブロックの正当性が認められるという仕組みです。

このチケットを使うことで、Nothing at Stakeを防ぐわけです。
なおこのチケットはPoSの仕組みと合わせた形で、ディーグレッドのウォレットを使用していることが条件になります。
ディーグレッドでのPoWへの報酬は60%、PoSの報酬は30%となっています。残り10%はプロジェクト運営費に当てられます。

51%攻撃の危険性はないのか?

PoSの場合、マイニングを行う担当者が決まっているため51%攻撃の対象にはなりません。またマイニングの競争が発生しないため消費する電力は大幅に抑えられます。

ディークレッド(Decred/DCR)のメリット

投票によるガバナンスの維持

ディークレッドでは運営や開発などの方針を投票によって決定されます。
これによりビットコインでのSegwitとブロックサイズの拡大のような意見の対立が発生した時には、投票によってガバナンスが維持されることになります。
ただしこの投票機能も万能というわけではありません。特定の人物が強い発言力を得て場を取り仕切ってしまったり、他の人の発言を妨げたりすると十分な効力を発揮できずに終わる危険性もあります。

また投票で決定するということは、開票されるまで未来が分からないということでもあります。ロードマップなども発表されていません。

アトミックトレード

ディークレッドはアトミックトレードにも参加しています。アトミックトレードとはアトミックスワップとも呼ばれる特定仮想通貨間での銘柄の交換機能です。
2019年2月段階ではディークレッド以外に、ビットコイン・ライトコイン・ヴァートコインなどが対応している銘柄です。
アトミックトレードは取引所を介さないため、内密で話を進めることが可能です。

個人間で取引する場合には持ち逃げされる危険性もありますが、アトミックトレードならば、このような持ち逃げを防ぐ仕組みが導入されています。
またディーグレッドの機能の中にはスマートコントラクトというものもあります。スマートコントラクトの特徴は電子上で契約が完了するところです。
既にイーサリアムを始めとするなど数多くの仮想通貨が採用しており、仮想通貨を代表する機能のひとつとなっています。

現在でも書類を交わした契約は存在しますが、書類の準備や弁護士の手配などさまざまな諸経費が必要になります。しかしスマートコントラクトであれば、電子署名だけで済ませることが可能となっています。