バンコール(Bancor/BNT)の特徴・詳細とは?

バンコール(Bancor/BNT)の特徴・詳細とは?|準備金設定でトークンエコノミーへアプローチ

昨今、「トークンエコノミー」という言葉がバズっています。この言葉で検索をすると、経済関連やIT関連のニュースサイトやブログで多くの記事がヒットします。web上の記事では、「現在の貨幣経済社会から進化発展した、トークンを主体とした経済社会のこと」というような定義が多いようです。これでは少し技術的な側面での説明に留まってしまっている印象があります。

「人間は社会的(ポリス的)な動物である」と言ったのはアリストテレスですが、この言葉は「人間が善く生きるために自己追求することで、その共同体を作っていく」というような意味だそうです。共同体を作っていくということが社会的ということで、どのように共同体を作っていくというかというと、そのベースにあるのはコミュニケーションでしょう。

人間の最もラジカルな部分には、誰かとコミュニケーションをすることがあります。なお、ここで言うコミュニケーションとは、会話や取引、承認や売買、交換や保証、報酬や攻撃という言葉に置き換え可能なもので、複数の人間間で行われるやり取り全般のことです。

コミュニケーションを一人で成り立たせることはできません。会話をするとき、記号である言葉を声として発した時、その発した側にも受け取った側にも何かしらの変化がおこります。誰かに言った、という事実からの心理的な変化、情報を渡したという事務的な変化、カロリーを消費したという身体的な変化、です。受け取る側も同じように人間としてコミュニケーションの前後で何かが変わります。

トークンおよびトークンエコノミーとは

トークンとは、この人間のコミュニケーションすることをIT化するということです。「トークンエコノミー」とは、IT化したコミュニケーションのより流動化した社会、IT化したやり取り全般が経済する未来のことです。

しかしこのトークンという新しい概念は、まだまだ世の中に浸透していません。そのため流動性を担保することは容易ではありません。ITなので、技術仕様やプラットフォームが決まっており、作成者が数多といるのでそれが乱立しているからです。言語さえ合えばいくらでも自由にやり取りできる会話や、貨幣さえあればショッピングができる店のような、人間が社会的に当然だと思うものを新概念で実現するのは難しいのです。

仮想通貨取引やICOでもこの問題が大きく話題になっています。簡単に言うと、「売りたくても買う人がいない」という問題です。ICOのようなマイナーな空間ではコミュニケーション不全で、アリストテレスの言ったような人間的なふるまいが実現していません。

この状況打破のために、トークンの流動性リスクを無効化する技術を備え、トークンエコノミー実現のために一歩を踏み出したプロトコルがあります。それがこれから紹介していく「Bancor(バンコール/BNT)」です。

バンコール(Bancor/BNT)の最新価格・相場・チャート・評価


初心者必見!バンコール(Bancor/BNT)の特徴・詳細について

「Bancor(バンコール/BNT)」は、2017年6月にICOし、167億円を調達することに成功した、イスラエルを拠点とするBancorプロジェクトで設定された最初のスマートトークンです。後述しますが、Bancorプロジェクトはいくつかの側面で説明が可能で、普通の仮想通貨として扱うのは難しいです。

ただ、便宜的にでも仮想通貨として語られる際は、このBNTを軸に話されることが多いようです。仮想通貨のチャートを網羅的に掲載しているサイトなどでもBNTとして掲載されることが多いようです。

なお、Bancorという名称は、もともと20世紀を代表する経済学者John Maynard Keynes(ジョン・メイナード・ケインズ)が世界経済を安定させるために設定を提案した超国家的な通貨の名称です。この通貨の思想を継承して名前の由来としたようです。内容的には関連はほとんどありません。

Bancorの3つの側面

Bancorはこれまでの仮想通貨とは少し趣が違っており説明が難しいのですが、Bancorのプロジェクトは、ETFのような分散投資商品のような側面と仮想通貨の側面、DEXのような分散型取引所としての側面があります。これについて順を追って説明していきます。

分散投資商品のような側面

後で計算方法を詳しく説明しますが、Bancorは流動性リスク回避のために準備金を設定しています。この準備金は仮想通貨で賄われるのですが、その仮想通貨は複数を設定することが可能です。これはトークンバスケットと言われる仕組みです。BNTなどのスマートトークンを購入した際に、準備金としているほかの仮想通貨を複数種類購入することになり、ETFのように分散させて株式を購入するのと同じ意味合いになります。

仮想通貨の側面

Bancorプロジェクトでは、スマートトークンと呼ばれる、独自トークンをスマートコントラクト上で設定することができます。

BNTはBancorプロジェクトが公式に設定した最初のスマートトークンで、すでに市場にて流通し、普通の仮想通貨のように取引されています。同じようにBancorプロトコルで作成されたトークンとしては、STXなどがあります。

分散型取引所としての側面

BancorプロジェクトのBancorネットワークでは、そこに登録された仮想通貨を取引することができます。分散型取引所として、多くのユーザーが登録しています。流動性の担保があるのでとても快適に利用することができます。

しかし、Bancorネットワークは2018年7月にスマートコントラクトをアップグレードするためのウォレットがハッキングされ、約26億円ほどの損害を出してしまいました(約13億7500万円のETH、約1億1000万円のNPXS、約11億円のBNT)。セキュリティに関してのリスクは、中央集権型の取引所も分散型の取引所も同じなので、利用を考えている方は再度認識しておいたほうがよいでしょう。

バンコール(Bancor/BNT)の強み

Bancorの強みは何といっても、スマートコントラクトにて設定された準備金との兌換性です。Bancorプロジェクトで開発されたBancorプロトコルは、仮想通貨取引の流動性を高め、仮想通貨界でのトークンエコノミーを実現する技術を実装しています。その実装とは、変動するコインの価格に合わせて準備金を自動計算して設定していくという自律システムです。

その方程式は下記の式で表せます。準備金は、他の仮想通貨に設定されます。

スマートトークン価格と準備金残高関連式
①スマートトークンの価格 = ②準備金(他の仮想通貨)の残高 / ③スマートトークン総発行量 × ④固定準備率

この中で、①、②、③が変動する数値、④が定数となります。

③のスマートトークン総発行量が変数であるというところがエポックです。Bancor Protocolでは、売買されるたびに総発行量が変化するのです。これは他の仮想通貨にはない特徴です。市場にあるスマートトークン価格変動に合わせて、準備金残高(およびスマートトークン総発行量)を変動させることで、ICOの流動性を担保しているのです。

④は、BNTでは0.1(10%)と設定しています。また、BNTの準備金はイーサリアム(ETH)です。つまり、BNTの時価総額の10%は、常にBNTのコントラクトアドレスにリザーブされているということになります。

バンコール(Bancor/BNT)の爆上げ時期

Bancorは、ERC20に準拠したものなので、イーサリアムに連動して価格推移しています。価格が上昇した時期もほぼ同じで、現在は他の仮想通貨同様に、ヨコヨコの状態が続いています。

今後も、基本的にはイーサリアムの変動に合わせた価格推移を続け、Bancorネットワークへのトークン追加や、Bancorプロトコルの機能拡張により、変化があると考えられます。

バンコール(Bancor/BNT)の評価まとめ

Bancorは今後どのように普及していくのでしょうか。Bancorの弱みとしては、やはりイーサリアムの技術・文化圏内にとどまってしまっているという点だと考えられます。

現在、Bancorネットワークで対応しているトークンもERC20規格のものが中心ですし、イーサリアムの発展に合わせての普及とならざるを得ないと言えそうです。

バンコール(Bancor/BNT)の将来性

仮想通貨としてのBNTは、仮想通貨を交換する中間の通貨としての位置をめざす性格を持つと言えますが、当然ビットコインやテザーのような強力な先行通貨があるため、基軸となるのは難しそうです。

分散投資のできる通貨としてはとてもユニークなので、その方面で棲み分けができるのかもしれません。また、ハッキング事件はありましたが、分散型取引所としてはポテンシャルは高いと考えられます。どれくらい扱う通貨を増やすことができるかが今後のポイントとなるかと思います。

まだICOから時間の立っていないプロジェクトで、多数の有識者から流動性リスクへのアプローチとして注目をされている状態なので、これからの展開に期待して状況を注視していくのがよいでしょう。