米国内の有権者の6割が「仮想通貨での政治献金を許可すべき」と回答

米国のブロックチェーンに焦点を置いた調査企業であるClovr(クローバー)社は、仮想通貨が米国の政治に対して与える影響についての調査を行い、米国国内の有権者約1000人を対象にして、その調査結果を発表した。

調査の対象となった人々のうち約60%もの人が、「法定通貨と同様に仮想通貨による政治献金を認めるべきである。」という意見に賛成しており、その一方で、反対意見を持つ人は全体の約20%にとどまった。

仮想通貨を取り扱うに当たり問題視される安全性についての質問では、全体の半数以上である54%の人々が仮想通貨を利用しての政治献金は安全面での問題はないと回答した。また、仮想通貨への関心が深く理解がある調査対象者の回答に限定した場合、仮想通貨を政治献金に使用することに問題はないと回答した人の割合は約70%に達した。

しかし、この調査により米国各州の政府が仮想通貨を一つの政治献金の方法として受け入れることに前向きな姿勢を示していない理由として、ブロックチェーン技術を利用する上で長所として受け入れられてきた匿名性の高さや、仮想通貨自体の有効性などをあげている事がわかった。また、昨年10月に米国中西部に位置するカンザス州の政府が仮想通貨を政治献金として利用することについて、仮想通貨は必要以上に秘匿性が高く、また追跡する事も不可能である点から受け入れを拒否した事を例としてあげ、その他の州も仮想通貨を政治献金として利用することに消極的なままであると指摘した。

同調査では仮想通貨について議論する際、必ず議題に上がると言っても過言ではない、価格変動についても言及している。

仮想通貨を政治的に利用するにあたり価格は十分に安定しているか?」という質問に、約40%が十分に安定していると回答し、約35%が十分な安定はしていない、残りの約20%がわからないと回答した。また、仮想通貨に理解が深い回答者の62%が、仮想通貨は政治的利用するのに十分な安定性があるとの見解を示している。

仮想通貨を利用して行う政治献金についての問いでは、民主党と共和党、無党派の各党の支持者のうち、平均して約25%の人が「仮に合法的に行えるのならば仮想通貨を使用し、政治献金をしていきたい。」と回答している。

今回の調査では、政治に仮想通貨を導入する事による問題点も同時に明らかにしている。ドナルド・トランプ氏が米国の大統領に就任することになった大統領選から、米国では国外からの選挙介入が問題となっており、政治に仮想通貨を導入することにより同じ様な問題が発生するのではないかと不安視されている。

今回行われた調査では、回答者のうちの約6割もの人が仮想通貨を政治に取り入れることにより、国外からの選挙干渉ことは、非合法的な事に使用される確率はあがるのか?」という問いに対して、約6割の回答者が非合法的な事に使用される確率が上がると回答した。

今回の調査でも公になったように、政治へ仮想通貨を取り入れていくことは、国外からの選挙干渉を受けてしまう可能性や、違法に使用されてしまう可能性も高くなるため、不安視している声も多くある。しかし仮想通貨を政治に取り入れることが可能となれば多額の政治献金を調達することが可能となる他、また新たな仮想通貨の可能性を見出す事も可能となるだろう。

米国では州ごとに仮想通貨での政治献金に対する解釈は異なっており、今年9月にはカルフォルニア州で、政治献金としての仮想通貨の利用は禁止という判断が、カルフォルニア州の公正政治委員会によって下されている。